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退職金にかかる税金を減らす - 退職所得控除の仕組みと受取方法の比較

退職金にかかる税金を減らす - 退職所得控除の仕組みと受取方法の比較

Toolspot公開日: 2026/4/18

退職金は人生で最大の収入のひとつ。1,000万円〜3,000万円規模の現金が一度に動くため、受け取り方の選択ミスで数百万円の税金が変わることがあります。本記事では、退職金課税の仕組みと、受取方法ごとの税負担を比較します。

退職金にかかる税金の基本

退職金は給与とは別に 「退職所得」 として課税されます。給与と切り離して計算されるため、税金が抑えられる仕組みです。

退職所得は次の式で求めます。

退職所得 =(退職金 − 退職所得控除)× 1/2

最大のポイントは、控除を引いた残りを 半分にしてから課税 する点。これが退職金の税負担を軽くしている本丸です。

退職所得控除は勤続年数で大きく変わる

退職所得控除は 勤続年数 によって増えます。

勤続年数 控除額の計算式 例(22歳〜60歳:38年)
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数−20年) 800 + 70×18 = 2,060万円

38年勤続なら控除は 2,060万円。退職金が2,060万円までなら税金ゼロです。

勤続20年超で控除が急増する理由

20年を境に、1年あたりの控除額が 40万円 → 70万円 に上がります。これは長期勤続者を優遇する設計で、転職を繰り返した場合とは大きな差が生まれます。

一時金・年金・併用の3パターンを税金で比較

たとえば勤続38年・退職金2,500万円の人が次の3パターンで受け取った場合の税負担を見てみましょう。

パターン1:全額を一時金で受け取る

  • 退職所得控除:2,060万円
  • 課税対象:(2,500−2,060)÷2 = 220万円
  • 所得税+住民税:おおむね 約32万円(退職所得は分離課税)

パターン2:全額を年金(公的年金等)で受け取る

  • 公的年金等控除+他の年金との合算で課税
  • 受取期間中の他の所得と合算 → 累進課税
  • 健康保険料・介護保険料の対象になる
  • 結果として、1.5〜2倍の税負担になりやすい

パターン3:一部を一時金、残りを年金で受け取る

  • 一時金部分:退職所得控除を活用して低税率
  • 年金部分:公的年金等控除を活用
  • 多くの場合、全額一時金より有利になるケースもある(特にiDeCoとの併用時)

結論:単純な大企業退職金なら「一時金」が有利。iDeCo・企業型DCがある場合は受取順序の戦略次第で「併用型」が有利になります。

実際の税額は退職金税金計算ツールで勤続年数・退職金額・受取方法別に試算できます。

iDeCo・企業型DCがある場合の戦略

近年、iDeCo・企業型DCの加入者が増えており、これらも退職所得として受け取れます。複数の退職金を受け取る場合、重複期間の扱いに注意が必要です。

「19年ルール(5年ルール)」とは

退職所得控除は、複数の退職金で重複期間がある場合は二重に使えません。

受取の順番 重複期間の取扱い
退職金 → iDeCo iDeCoは退職金から 5年以上空ければ 控除を再利用できる
iDeCo → 退職金 退職金は 20年以上空ければ 控除を再利用できる(19年ルール)

このため、「iDeCoを早めに受け取る → 5年以上経ってから退職金を受け取る」 がもっとも控除を活かしやすいパターンです。60歳でiDeCoを一時金受取→65歳以降に退職金、というケースが該当します。

退職所得は確定申告が必要?

通常、退職前に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、源泉徴収で税金の精算が完了し、確定申告は不要です。

ただし、以下のケースは確定申告したほうが得になることがあります。

  • 申告書を提出し忘れて、源泉徴収率20.42%で取られた → ほぼ確実に還付
  • 退職した年に医療費控除や住宅ローン控除が使える
  • 退職した年の所得が低く、配偶者控除等で還付される

早期退職・転職時の注意点

短期勤続(5年以下)の役員退職金

5年以下の役員等への退職金は 2分の1課税の対象外です。一般従業員の短期退職についても、令和4年から 300万円超の部分は2分の1課税の対象外 に変わりました。

つまり、勤続3年で退職金500万円を受け取った場合、500万円のうち300万円までは「2分の1課税」が使えますが、超過分は通常の累進課税に近い扱いになります。

転職を繰り返すと控除が積み上がりにくい

5年・5年・5年と転職した場合、控除はそれぞれ200万円(40×5)が3回。一方、15年連続なら600万円(40×15)で同じ。20年超になれば1年あたり70万円に増えるので、長期勤続のほうが控除効率は高いことがわかります。

まとめ - 退職前に「受け取り方」を決める

  • 退職金は「退職所得控除→1/2課税」で税負担が軽くなる仕組み
  • 勤続20年超で1年あたり控除額が40万円→70万円にアップ
  • 全額一時金が有利なケースが多いが、iDeCoとの併用は順序戦略がカギ
  • iDeCoは「5年以上空けて退職金を受け取る」が控除を活かす王道
  • 役員5年以下・短期勤続300万円超は2分の1課税の対象外

退職金は受け取り直前に決めるのではなく、退職の数年前から戦略を立てることが大事です。退職金税金計算ツールでパターン別の税額を比較し、iDeCo・NISA節税シミュレーターで老後資金全体を可視化してみてください。

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