確定申告は「自営業者がやるもの」と思われがちですが、会社員でも申告すれば還付金が戻るケースは多くあります。本記事では、会社員が知っておくべき還付パターンと、実際の申告手順をまとめます。
まずは「申告すれば得をするか」を見極める
会社員は通常、年末調整で税金の精算が完了しています。しかし、年末調整では処理できない控除がいくつかあり、これらを使う場合は確定申告が必要です。
確定申告で還付されやすい7つのケース
| ケース | 還付の目安 |
|---|---|
| 医療費が年10万円超 | 所得税率×超過分 |
| 住宅ローンを組んだ初年度 | 借入額の0.7%(年最大35万円) |
| ふるさと納税で6自治体以上に寄付 | 寄付額-2,000円 |
| 株・投資信託で損失が出た(損益通算) | 譲渡益・配当の20.315%相当 |
| iDeCo掛金を年末調整で控除し忘れた | 掛金×所得税率+10% |
| 災害・盗難で被害を受けた | 雑損控除分 |
| 年の途中で退職し再就職していない | 過剰徴収分の返還 |
特に「初年度の住宅ローン控除」「医療費控除」「ふるさと納税6自治体以上」は、会社員でも申告必須となるパターンです。
医療費控除 - 家族合算で10万円超を見逃さない
医療費控除は 家族の医療費を合算できます。同じ生計のメンバーが対象なので、共働き夫婦・離れて暮らす親への仕送り分も対象になり得ます。
- 対象:通院・入院・薬代・歯科治療・通院交通費(電車・バス)
- 対象外:美容目的の整形・健康診断(ただし重大疾患発見時は対象)・サプリメント
「セルフメディケーション税制」も選択肢
スイッチOTC医薬品(ロキソニン等の市販薬)の購入額が年12,000円超なら、医療費控除の代わりにこちらを選べます(同年に併用不可)。健康診断・予防接種を受けていることが条件です。
住宅ローン控除 - 初年度は確定申告必須
住宅ローン控除は最大13年間で 借入残高×0.7% が所得税から差し引かれます。
| 区分 | 借入限度額 | 年間控除上限 |
|---|---|---|
| 認定長期優良住宅 | 5,000万円 | 35万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 31.5万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 28万円 |
| その他の新築 | 3,000万円 | 21万円 |
初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で完結します。借入金の年末残高証明書、登記事項証明書などを揃える必要があります。
ふるさと納税で確定申告が必要なケース
ワンストップ特例の上限は5自治体までです。これを超えた場合や、ほかの控除との併用で確定申告が必要なケースは以下のとおり。
- 6自治体以上に寄付した
- 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)も同時に使う
- 副業など給与以外の所得がある
- 年収2,000万円超で年末調整の対象外
事前にふるさと納税控除上限額シミュレーターで控除上限を確認しておくと、寄付しすぎを防げます。
確定申告の進め方 - e-Taxで完結する手順
1. 必要書類を揃える
- 源泉徴収票(会社からもらう)
- 各種控除証明書(生命保険・地震保険・iDeCo・寄付金等)
- 医療費の領収書または医療費通知
- マイナンバーカード(e-Taxで使用)
2. 国税庁の確定申告書等作成コーナーを開く
e-Taxを使う場合、マイナンバーカード方式が主流です。スマホとマイナポータルアプリがあれば、PCのカードリーダー無しで完結します。
3. 入力項目を埋める
- 給与所得(源泉徴収票どおりに転記)
- 各種所得控除(医療費、寄付金、社会保険など)
- 税額控除(住宅ローン控除など)
- 還付先口座
4. 送信して終了
e-Tax送信後、おおむね2〜4週間で還付金が振り込まれます。
申告期限と税務調査の注意点
- 通常の申告期限:毎年 2月16日〜3月15日
- 還付申告のみの場合:翌年1月1日から5年間 申告可能(期間に余裕あり)
- 期限後申告すると、無申告加算税・延滞税が発生する可能性あり
会社員が還付申告のみする場合は3月15日に縛られません。慌てる必要はないですが、5年経つと請求権が消滅するので注意してください。
副業・ダブルワークがある場合
- 副業収入が年間20万円超 → 確定申告が必須
- 副業20万円以下でも、住民税の申告は必要なケースあり
- 副業の所得は 雑所得(年300万円以下が目安)または 事業所得(記帳・帳簿付けで判定)に分類
副業がある場合の手取り額は給与手取り計算ツール、所得税額は確定申告・所得税計算ツールで試算できます。
まとめ - 「年末調整で完結」の思い込みを捨てる
会社員でも確定申告すれば、5万円〜数十万円の還付を受けられるケースは少なくありません。特に初年度の住宅ローン、医療費10万円超、ふるさと納税6自治体以上は要注意です。
- 医療費は家族合算で10万円超を狙う
- 住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要
- e-Taxで2〜4週間以内に還付される
- 還付申告は5年以内ならOK、慌てる必要なし
確定申告・所得税計算ツールで還付額をシミュレーションし、給与手取り計算ツールで手取り変動も確認すれば、申告すべきかが具体的に判断できます。
